「入院する」ということ(後編)
「最期は自宅で看取りたい」という考え方が広がってきているような
気がします。・・・というか、私自身がそういう考え方に変わってきたの
かもしれません。
若い頃は、「可能性のある限り最善の治療を尽くすこと」が私たち
獣医師の使命であると考えていました。状態の悪い子たちを積極的に
入院させ、夜中も付きっきりで看病する・・・なんていうこともやって
いました。病院で亡くなったときも、「最善を尽くした」と、ある種の
満足感とか充実感みたいなものを覚えていたのかもしれません。
でも、それって、間違っているんじゃない? 最近、そう思っています。
病状は相当悪いのだけれども、入院させて治療をしても大きな改善が見込めないと予測されるときは、入院せず、出来るだけ自宅で家族と一緒にいる時間を長くとってもらうことを優先するケースがあります。
そこの見極めがとても難しく、入院してじっくり治療するか、通院治療を選択するか、いつも頭を悩ませるところです。
「もう長くないから、おウチで看てあげてください・・・」とお返しした
ワンコが、しばらく経ってから元気になって来院した時などは、
とても嬉しく、心の底から「良かったね!!」と思うのですが、
予後判定が正しくできなかったことを考えると、
ちょっと複雑な気持ちになってしまします。
入院するか、通院治療にするのか、最終的には家族のご意向を優先
しますが、この先どれくらいの期間、その子が頑張るのかを予測する
ことは本当に難しいな、と、いつも思います。