猫はそれぞれ性格が大きく異なります。どんな状況も怖がらない子もいれば、常に警戒している子もいて、診察はとてもデリケートに行わなければならないと考えています。 当院では、まずケージの中で観察し、驚かさないように様子を見計らって診察台に移ってもらいます。子猫が病院嫌いにならないよう、細心の注意を払って優しい気持ちで接するように努めています。
家猫が外に出るのは、楽しいことと同じく危険もたくさんあります。交通事故や猫エイズなどのリスクによって、外に出る猫は寿命が極端に短くなる確率が高くなります。平均的に室内猫の寿命が15年とされるなかで、野良猫の寿命は3年といわれます。 しかし、室内飼育でも放置しては、健康で長生きできるとは限りません。
これらを避けるために、室内猫が幸せに暮らせる環境を整えてあげましょう。
1安心して眠れる
猫は、見晴らしのいい高い場所や、誰にも邪魔されない場所で眠ることを好み、家具の上や押し入れの中、箱の中などを探します。いつも同じ場所ではなく、気分によって場所を変えることもありますので、猫好みの寝床を複数用意してあげましょう。
2隠れることができる
猫は驚いたり恐怖を感じたりすると、高い場所や潜り込める箱、イスや机の下などに身を隠します。そんな場所が複数あるとよいでしょう。
3運動できる
猫は登ったり降りたりする「上下運動」や、走ってのエネルギー発散を好みます。年齢や性格、運動能力に応じて家具をうまく配置したり、キャットタワーを用意してあげましょう。
4外が見える
猫は外に出なくても、窓から外を眺めたり、音を聞いたり、臭いをかいだりすることで満足してくれます。ただし脱走にはご注意を。
5爪とぎできる
爪研ぎは、ツメのお手入れという意味に留まらず、体を動かし、同時に緊張や不安もほぐすストレッチでもあり、また視覚と嗅覚のマーキングでもある大切な行動です。 猫が好む素材の爪研ぎを、水平・垂直の方向にそれぞれ用意してあげましょう。
人と同じで、猫のトイレも「静かで落ち着く」「人や動物の出入りが少ない」「ご飯を食べる場所と離れている」ことが好まれます。
また最低でも朝晩の2回は汚れを取り除いてあげて、週1回は中身をすべて新しくしてあげましょう。トイレの数はペット1頭で2個、2頭で3個と、頭数分プラス1個の用意が理想的です。
出入りしやすく、成猫でも天井に頭が当たらない高さと、中で向きを変えられる大きさのあるものにしましょう。
中にすっぽり入れて、縁に手をかけられるよう厚みのあるものを用意してあげましょう。砂などを入れる高さも必要です。
飛び散るものの、猫の本能に最も適した材質です。固まる、固まらない、洗って再利用できる、可燃ゴミに出せるなど、さまざまなタイプがあります。
砂に比べて消臭力があります。これもさまざまなタイプがあります。
軽く持ち運びしやすいですが、砂と同じく飛び散りやすいというデメリットがあります。
乾きが早く、脱臭力にすぐれます。そのため体調管理が難しくなるともいえます。
新聞紙を細かく裂いてふかふかにしたものなど。 (猫は、臭いが残らず細かく固まる材質を好む傾向があります)
こんな動作は次の排泄のサインです。
こんなとき、そっとトイレにつれていくことを繰り返すと、だんだん自分からトイレに行くようになります。
体罰を加えると、「叱られている」とは理解しますが、「なぜ叱られたのか」は理解してくれません。そのため次から隠れて排泄したり、飼い主を嫌いになってしまったりします。
猫は本能的に狩り遊び(隠れて待つ、狙いをつける、忍び寄る、捕まえる)を好みます。 そのため運動不足でストレスがたまると、動くものを獲物に見立てて攻撃してきます。 オモチャで遊ぶことでストレスを解消できるだけでなく、飼い主とのコミュニケーションも深まります。
食べ物が出てきたり、狙いをつけて捕まえられるものを好みます。飽きないよう、1回につき5~15分程度遊べるものをいくつか用意しましょう。 手足を攻撃してくるときは、手を隠す、動きを止める、別の部屋に移動するなどして相手にしないでください。叱ると余計に興奮させることがあります。
猫は、犬ほど「しつける」という感覚がないものですが、学習能力がないわけではありません。スプレー行動や引っ掻き行動といった問題行動も、まずその原因を探してあげてください。 環境のせい、病気のせいということもあります。お互いにストレスのない、楽しい生活を送るために、わからないことがあれば何でもご相談ください。